睡眠時間は長い方がいい?
睡眠時間は長い方がいいという考え方は、どうも実験上も経験的にも否定されているようです。寝過ぎで頭痛がするなどという状態は誰でも一度くらいは経験しているはずですし、長時間寝ていてかえって疲れるという現象も珍しくありません。
人間の眠りは、大きくわけてレム睡眠とノンレム睡眠の2種類になりますが、ノンレム睡眠はさらに浅いノンレム睡眠と深いノンレム睡眠に分けられます。実は、このうち熟睡感に関係があるのは深いノンレム睡眠です。深いノンレム睡眠の時間が短いと、熟睡感が足らずに疲れがとれません。
熟睡したと感じる睡眠を調査したところ、短かい時間の睡眠と長時間の睡眠の双方で、深いノンレム睡眠は同じ時間だったことが判明したそうです。つまり、睡眠時間の長短にかかわらず、深いノンレム睡眠時間は身体がちょうどいいと感じる時間だけ起こっているというわけです。
ここから判るのは、人間にはその人に特有の深いノンレム睡眠時間が必要であり、睡眠時間の長短にかかわらず、身体はその深いノンレム睡眠時間を確保しようとするということです。もちろん、睡眠時間が一定以下になれば、その深いノンレム睡眠時間を確保できなくなります。
これこそが、睡眠時間の短縮には限界がある理由であり、またある程度までは睡眠時間を減らしても、人間があまり影響を受けずに日常生活をおくれる理由です。
では、睡眠時間が長すぎるとどうなるのでしょうか。これについては実験でもよく判っていません。睡眠時間中にはレム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れ、ノンレム睡眠は浅いノンレム睡眠と深いノンレム睡眠に分かれて発生するのですが、そのどこかで睡眠の過剰摂取が発生するのではないでしょうか。
何でもそうですが、容量を越えて摂取すると機能が阻害されます。寝過ぎで頭痛が起こるなどという現象は、何かが過剰分泌された結果だと思った方が良さそうです。
